2014年3月8日土曜日

大手事務所は例外事例

日本の人は、アメリカの大手事務所の弁護士を基準に、「アメリカの弁護士は。。。」「日本の弁護士は」と比較する人が多いが、これはナンセンスである。

大手四大事務所の弁護士だけが弁護士であるかのように日本の弁護士について語っているようなものである。

アメリカの弁護士の方が日本の弁護士より優秀だと言っていた人に会ったが、よく聞いてみると、比較しているアメリカの弁護士はすべて超大手事務所(1000人規模で弁護士がいる事務所)にいる弁護士で、日本の弁護士は、極普通の5人から10人の弁護士がいるような事務所の弁護士を指して話しをしていた。

大手事務所に採用されるためには有名なロースクールで優秀な成績をおさめる必要がある。日本の四大大手事務所レベルのアメリカ事務所に採用されるのは、アメリカの新人弁護士のせいぜい上位5パーセントくらいに過ぎない。

日本企業がアメリカの弁護士に依頼するときは、特殊分野でない限り、大手事務所の弁護士を雇うのが一般的なので、弁護士全体の割合からすれば極わずかの大手事務所の弁護士がアメリカの弁護士のすべての様な論調で、「アメリカの弁護士とは」を語っている人が多い。

これは本当にナンセンスだと思うが、これこそが、アメリカのロースクール制度を模倣した司法改革の原点なのではないか。アメリカの大手事務所だけを見てきた日本人が、就職難にあえぎ、資格はあるけれども弁護士として十分活躍できていない一般のロースクール卒業生と接する機会を持たないまま、アメリカのロースクールを模倣すれば、アメリカのようなすばらしい未来があるとして司法改革が進められてきたように見えるのは私だけであろうか。