2014年10月6日月曜日

弁護士のステイタス

アメリカの弁護士は自分が所属する法律事務所が規模が大きいということ、自分が事務所のパートナーであるということを強調する。名刺にある事務所の名前の字のフォントは自分の名前の字のフォントより大きいことがしばしばである。また、事務所の名刺にしっかりと「パートナー」という言葉が入っている。


日本を振り返ってみるが、少なくとも20年近く前の弁護士の典型的な名刺は、弁護士 〇〇〇〇と名前が大きく書いてあって、その横に小さく事務所の名前と住所電話番号などが入っていた。当時の日本で一番大きな事務所の弁護士は50人に届くか届かないかという程度で、所属する事務所に何人の弁護士が働いているかなど話題にする人はなかった。もちろんパートナーなどという肩書きをつけた弁護士の名刺など見たことはなかった。弁護士という肩書きだけで十分能力の証明になったし、人からの信頼も得られたからなのであろう。


大量の弁護士がいるアメリカでは、弁護士というだけでは、能力の保証はないし、信用を得られない。そこで、大きな事務所に所属しているということがステイタスとなり、パートナーという肩書きがあることで、人からの信用が得られるようだ。そこで、皆パートナーという肩書きを欲しがる。パートナーの名刺にはパートナーという肩書きが大きく記載してある。


日本も弁護士の人数が増え、弁護士というだけでは能力の保証もないし、信用も得られないという時代に突入しつつある。これからは、日本でも法律事務所名がブランド化し、そのブランド化した事務所に所属する弁護士は事務所の名前を大きく名刺に記載し、さらには大手事務所のパートナー弁護士は分かりやすく名刺にパートナーと記載するのが主流になる時代が来るのかもしれない。名刺を渡すときに、「〇〇事務所という弁護士が〇〇〇人もいる事務所のパートナー弁護士です」と説明を加えるようになるのかもしれない。