2014年12月24日水曜日

非難すべきは高額な弁護士会費なのでは

大手企業に勤めていた人が、リストラや出向で大手企業の肩書を失った時に、周りの人態度がガラッと変わってショックを受けることはよくある。

そんな時、弁護士という資格は他人から与えられた企業内の肩書と違って自分に付属しているものなので、弁護士会費を支払っている限り、他人から取り上げられることはない。「弁護士という資格はよいかもしれない」という考えが、頭をよぎることがある。

しかし、ここで何度も言っておくが、弁護士会費を支払っている限り、である。

ロースクールの学費は、2年または3年支払えばよいが、弁護士会費は、弁護士登録を続けたいと思うのであれば、一生払い続ける必要がある。年間60万円くらいの弁護士会費をたとえば、40年払い続けたらどうなるか。考えるだけでも恐ろしいが、2400万円である。

これだけのお金を支払って、弁護士という肩書を維持する必要があるのだろうか。

アメリカの弁護士資格の場合、登録の費用が非常に安い。ニューヨーク州は、2年間で375ドルを支払っているだけである。1年にすると、200ドルかからないのである。これなら、肩書だけとして持っておくためであっても問題ない。また、この肩書があれば、TOEICの点数を申告しなくても、英語はできるという証拠になる。それなら、費用対効果としても、悪くない。

最近円安ではあるが、日本の会費はニューヨーク州の20倍を超えている。

確かに、ロースクールは日本の実情に合っていない問題のある制度であるが、非難すべきはまず、高額な弁護士会費ではないかと思う。
弁護士会費は、新しい弁護士の新規参入を妨げているだけでなく、弁護士の自由な競争を妨げている。弁護士会費がアメリカ並みに安ければ、弁護士登録をする人も増えるし、いったん登録した人はそのまま登録を続けるだろう。登録を続ければ、誰かから頼まれて弁護士として法的アドバイスをすることもあるだろう。また、弁護士登録をしたままの者が、色々な分野に入っていくことになるだろう。弁護士会費をアメリカ並みにすることは、司法改革の理想を実現する近道となるのは明らかである。

今のままの高額な弁護士会費であれば、登録を続けなければ仕事ができない、誰かが登録費用を支払ってくれる、登録した方がしないよりも会費分を差し引いても収入が増えることが確実な人しか登録を続けないだろう。

弁護士会費を支払えないために廃業した人たちが集まって、職業選択の自由を侵害するとして訴訟を起こしてくれないかと思う。
強制加入は職業選択の自由を侵害しないとの判例があったとは思うが、弁護士の低収入が問題になっているなか、このような高額な弁護士会費を維持し続けることは、職業選択の自由を侵害していると言えないだろうか。