2012年9月5日水曜日

超ビジネス優先主義


アメリカの法律事務所は超営利団体である。大多数のアメリカの弁護士ははリーガル・プラクティスはビジネスの手段だと考えている。人権保護が弁護士の役割と公言する日本の弁護士との大きな違いである。

アメリカの法律事務所のほとんどは、ビジネスにとって何が好ましいのかを考えている。事務所が積極的に社会奉仕的なことをするのも、事務所のイメージアップにつながり、最終的にビジネスにつながる期待があって行われている。企業が、イメージアップを図るために環境にやさしいと宣伝するのと同じである。
 
大手の事務所にはマーケティング部がある。弁護士でも、パラリーガルでも、秘書でもなく、マーケティングをやるためだけに雇われた人たちのグループが事務所に存在しているのである。その中にはビジネススクールを卒業している者もいる。アシスタントよりも高給取りである。弁護士の立場から、彼らが何をやっているのかはっきりと把握していないが、営業のためのセミナーやパーティーの開催に関すること、事務所のパンフレットやウエブサイトの構成、雑誌等への宣伝を兼ねた原稿の掲載交渉、クライアント等に配布する事務所の名前の入った備品の作成等をやっていることは間違いない。高給取りのビジネススクール卒業者をわざわざ雇っていることから察するに、積極的にビジネス戦略を考えるとか、事務所のブランド作りを模索したり、海外での事業展開の検討などもしているようである。

マーケティング部だけでなく、事務所の弁護士が集まってマーケティング会議をやることもしばしばある。例えば、どうやって日本のクライアントを開拓すべきか、日本の企業から研修生を受け入れるのは営業につながるか、セミナーをやるのはどうか等話し合われる。

アソシエイトも営業に貢献することを期待されている。事務所によっては、ビラブルアワーのノルマの他にマーケティングのための時間を一定以上つけるように指示しているところもある。法律雑誌への原稿掲載や、外部でセミナーをやることはマーケティングとみなされる。

日本も法曹人口増加により、同じようなことが起こるのではないだろうか。もしかすると、もう大手の事務所では行われているのかもしれない。

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