2012年11月17日土曜日

日本の大企業就職には米国弁護士資格の方が有利?


 
日本でいわゆる二流の大学の法学部を卒業して、卒業直後にアメリカの有名なロースクールでLL.M.という1年のコースを卒業し、その後ニューヨーク州の司法試験に合格して、日本で就職してまもない人が、「リクルーターから転職しないかと連絡が来ることがよくあるんです」という話をしていた。
ある日本の大企業の法務関係者に「最近では、日本の弁護士資格を持っている新人より、アメリカの弁護士資格を持っている新人の方が就職しやすいのですよね」と聞いてみたことがある。すると「まさしくそうなんですよ。おっしゃるとおりなんです。弊社でも最近、弁護士資格を持った人を積極的に採用しようということで、求人を出し、日本の弁護士資格を持った人と、アメリカの弁護士資格を持った人が応募してきたんですよ。でも最終的にはアメリカの弁護士資格を持った人を採用しました。」との返事が返ってきた。
日本の大手企業の管理職の人がこんなことを話していた。「うちの会社じゃ、未経験として採用できる最高年齢は25歳までだから、就職時に26歳になっていたら、未経験者としての採用は絶対無理だねえ。だから法科大学院卒業の弁護士が就職時に26歳以上になっていたら、採用は考えられないよ。」
(注:大学卒業後、法科大学院に2年、司法試験を一発で合格して修習という最短コースでも修習が終わって弁護士になるころには多くの人が26歳になっている。ただ、早期に予備試験に合格すれば問題がない)
とある日本の大企業の日米両方の弁護士資格を持つ社内弁護士が、「うちの部署で英語ができない人は一人前とみなされない。」と言っていたのを覚えている。
色々聞いてみると米国弁護士資格を持った新人の方が日本の弁護士資格を持った新人より有利である理由が分かってくる。
1LL.M.1年のコースを出たのであれば、年齢が25歳以下と若いので、特別扱いをせずに通常の新卒として入社させられる。
2. 英語で法律文書の読み書きができるのでグローバル化に有利。
3. 名刺に米国弁護士と書けるので海外の会社と交渉するときに有利。
4. 弁護士登録を続けるための維持費が日本の弁護士と比較して格段に安い
(日本の弁護士:年間60万円から100万円の弁護士会費の支払い義務(ただ最初の数年は優遇あり)プラス会務の義務
ニューヨーク州弁護士:2年で375ドル(4万円未満)の登録料の支払い義務)。
その点からも、米国弁護士を他の社員と比較して特別扱いする必要が少ない。
 
法学部の学生としても、円高の今であれば、アメリカに留学した方が有利ということになる。日本で弁護士になる為には、少なくとも2年間の法科大学院に通って350万円くらいの学費を支払い(生活費別)、貸与制の修習で300万円の借金を負うことになるが、最近は弁護士になってから就職先があるかどうか分からない。650万円あれば、1ドル80円台の今、学費と生活費込みで十分LL.M.留学が可能である。