2013年2月2日土曜日

軒先も借りていないアメリカのノキ弁?-その1


アメリカでは、インターネットの発達に伴って、自宅から働けるシステムが整っている。家からオフィスのサーバーにアクセスでき、メールも携帯で受信でき、会議もGo to meeting 等を使えば、同じパソコンの画面を見ながら電話会議もできる。5時になったらとにかく家に帰って家族と食事をした後、家から働く弁護士も多い。パートナーになれば、金曜日は家で働いている弁護士もかなりいる。

どうせオフィスに行っても、例えば共同で仕事をやっているワシントンDCオフィスとニューヨークオフィスの弁護士が電話会議をしなければならないのは同じだったりする。それなら家から電話会議をしても同じことである。なかにはほとんど家で働いているという弁護士すらいる。

これが度を越えると、どんなことが起こるかというと、例えば法律事務所のウエブサイトを見ると50人くらい弁護士が所属していることになっているが、実際に毎日事務所に来ている弁護士は10人くらいという事務所が存在するのである。クライアントも会議室に通されるだけで事務所の執務室を覗くわけではないので、実際に事務所に来ている弁護士が何人いるのか分からない。クライアントも各地に散らばっているので普段は電話会議で済ませていたりする。クライアントが近くにいれば、弁護士がクライアントのオフィスを訪ねることも多い。

この残り40人のウエブサイトに名前を連ねている弁護士がノキ弁の可能性もある。アメリカにノキ弁という言葉はない。ただ、日本のノキ弁と同じような弁護士がいる。つまり、所属はその事務所になっているが事務所から給料をもらっているわけではなく、仕事がある時だけ報酬を決めて仕事を手伝ったり、クライアントを自分で探して一定額を事務所に入れて残りを自分の報酬にするという働き方をしている弁護士がいるのである。この場合、日本でいうノキ弁と違って軒先すら借りていないこともある。事務所のサーバーシステム、メールシステム、期日管理システムなどのコンピュータ関係システムを使わせてもらい、弁護士過誤保険に入れてもらい、事務所のウエブサイトに名前を載せてもらって、事務所名の入った名刺を持ち、事務所の名前を使って営業することを認めてもらっているのである。事務所に固定席を持っていない。たまに事務所に行くが、その際にはVisiting attorneyのオフィスを使わせてもらうのである。彼らの事務所ウエブサイトでのタイトルはカウンセルとかオブ・カウンセルとなっていることが多い。

つづく。。。