2013年2月18日月曜日

弁護士の移籍 (時には騙し合い?) ― その1


ある程度大きな法律事務所が求めている弁護士のタイプというのは大雑把に分けると3つくらいあるだろう。

まずは、優秀なロースクールの新卒である。これに関しては、以前「アメリカのロースクールに関する情報の偏り」でも紹介したので簡単にだけ説明すると、トップ10パーセントのロースクールの優秀な学生か、トップ10パーセント外のロースクールであれば成績がかなり優秀な学生をサマーアソシエイトとして採用し、問題がなければアソシエイトとして正式採用するというものである。リーマンショックの直後にはサマーアソシエイトの数が激減したが、最近少し持ち直しているようである。大手事務所では大手事務所として存続し続けるためには毎年少しずつでも優秀な新卒弁護士を採用する必要がある。

2つ目は、2年から5年の経験のあるアソシエイトの雇用である。つまり、既に経験があるので1からトレーニングをしなくても直ぐ使えることが前提となっている。この場合、事務所に仕事があることが前提となる。何故、2年から5年の経験かというと、それ以上の経験年数を積んだ弁護士はアワリーレートが高くなるので、使いづらいのである。アソシエイトのロースクールでの成績を気にするところも多く、履歴書の他に成績証明書を出せとか、ライティング・サンプルを出せと要求する事務所が多い。リーマンショックの直後にはこのタイプの雇用が極端に減ったが、最近若干持ち直している。リクルーターはアソシエイトを移籍させてビジネスをしているので、あちこちのアソシエイトに「ニューヨークの大手事務所で○○というアソシエイトを募集しています」という感じの迷惑メールを大量に送っている。リーマンショック前だとリクルーターからの電話の件数はものすごかった。

3つ目は、クライアントを持っている弁護士をクライアントと共に移籍させることである。これに関しては、移籍する弁護士側も移籍を受け入れる事務所側もお互い騙し合いをしていることが多い。

つづく。。。