2015年8月11日火曜日

日本の法曹界がアメリカ化しているのでは その1

日本がアメリカ型のロースクールを取り入れて、日本の法曹界はどうなることかと見ていたが、ある意味アメリカ化してきていると感じる。

一般の人が日本の法曹界がアメリカ化すると言うと想像するのは、なんでも訴訟社会で、ちょっとしたことでも弁護士がすぐ訴訟を起こすというイメージかもしれない。しかし、ここで私がアメリカ化と言っているのはそういうことではない。


まず、アメリカでは弁護士が二極化している。10パーセントに満たないリッチな弁護士と、70パーセントを占める所得の高くない弁護士。リッチな弁護士の中には日本円にして億単位の稼ぎがあるものもいる。その反面、弁護士としての職にすらつけない弁護士資格保持者がゴロゴロしている。
ブランドイメージが高く、1時間弁護士一人あたり数万円から10万円請求する大手法律事務所があるかと思えば、派遣会社に所属しながら仕事があった時だけ派遣として働く弁護士や、弁護士として働くことを諦めた資格保持者もいるのである。

日本でも似たような現象が起こり始めている。今まで、弁護士になれば、弁護士の中では所得が低い弁護士であっても、そこそこ余裕のある生活ができた。しかし、現在では、一部のリッチな弁護士と、所得の低い弁護士の二極化が進んでいる。リッチな弁護士は億単位の稼ぎがあるので、平均すると弁護士の給料は高いということになるが、二極化している場合、平均値は統計的な意味は低い。


次に、アメリカではビジネス最優先主義である。金になるかならないかを重視する弁護士が非常に多く、一般的である。大手事務所にはMBAを取得した営業専門の人がいて、彼らは、事務所のブランドイメージを高めるために日々努力をしている。下手な安売り合戦などやらない。また、大手事務所になればなるほど、金になるクライアントと仕事を選んで引き受けている。

また、個人の弁護士レベルでも、そもそも、ロースクールに多額の学費を支払っても将来その投資が取り返せると思って弁護士になる者が多いので、投下資本回収というビジネス目的を弁護士になった時から持っている人が多い。ロースクールのための借金、2000万円程度を返しながら、さらに、住宅ローン、自動車ローンと3重のローンを抱えている人は多く、弁護士の稼ごうとするモチベーションは高い。

日本の大手事務所では、明らかにアメリカの大手事務所と同じような傾向がみられるようになった。事務所のブランドイメージを高める戦略が重視されるようになった。事務所ランキング、弁護士ランキングの順位を高めるための努力もしている。

今、期の若い弁護士の間では弁護士が営業活動するのは当然とみられている。弁護士業務イコールビジネス活動という考えが浸透している証拠である。営業活動をどうやってやるべきかという出版物を購入し、営業セミナーに積極的に参加する若手は多い。
借金を背負っての出発という新人弁護士が増えた。家も車も買えないぎりぎりの生活をしている若手弁護士も多い。営業活動を積極的に行って、金儲けをしなければというモチベーションは高くなっている。


つづく