2012年10月23日火曜日

顧問弁護士制度


日本では、顧問弁護士という制度があって、企業は仕事が何もなかったとしても毎月顧問料として顧問弁護士に一定額の支払いをする。顧問料は企業の大きさによっても様々であるが、月額5万円から20万円といったところであろう。中小規模の法律事務所にとってこの顧問料は大きい。毎月決まって入ってくる固定収入なので、例えば、事務所の家賃、電話代、コピー機のリース料などの固定費が顧問料総額の範囲内で支払えると分かっていれば、経営がとても楽になる。

アメリカでは顧問料という制度は聞いたことがない。アメリカ人の弁護士何人かに聞いてみたが、やはり顧問料制度は一般的でないようだ。

日常の業務でちょっと聞いてみたいと思うような法律相談があった場合、日本では、顧問弁護士にちょっと電話で相談してみることが可能だ。ちょっとした相談であれば顧問料の範囲内で答えてもらうことができる。アメリカではどうしているのだろうか。ちょっとした法律相談は社内弁護士に相談しているようだ。たとえば、広告代理店に弁護士がいる理由を聞いてみると、広告の際に他人の商標や著作権を侵害があるか否かに関して絶えず法的な問題が発生するから社内に弁護士が必要だとのことであった。

大手企業にとってみれば、社内で弁護士を雇っているので、わざわざ外部の弁護士に顧問料など支払う必要はないと考えるのだろう。アメリカの法律事務所の費用はかなり高額なので、特にリーマンショック以降、社内弁護士を採用して外部の弁護士に依頼する割合を減らしている企業が多いようである。

大型事務所にとってみれば、たいした金額にならない月額の顧問料を支払うからといってそのクライアントと利害が対立する、つまりコンフリクトがあるクライアントの事件を一切受任できないとなると、顧問料を支払ってもらう不利益の方が大きいでのあろう。顧問料を支払うだけで仕事を回さない企業より、年間1億円分の仕事を依頼するクライアントの方が重要だろう。