2013年4月14日日曜日

派遣弁護士業務が日本上陸か


以前、アメリカ特有のディスカバリーという制度により、一時的に大量のドキュメントをレビューする弁護士が必要になるので、派遣弁護士という働き方があるという話しをした。

ドキュメントレビューをする弁護士は、ディスカバリーで関連書類等を相手方に提出しなければならないが、提出する前に、事案との関連性があるのか、弁護士秘匿権によって出さなくてよいものかなど、すべての書類を精査することになる。最近、企業で保管されている書類は電子情報がほとんどであり、メールもファイルもすべて電子情報である。日本人の性質として何でも保存しておこうとするので、このデータ量は半端ではない。それをたとえキーワード検索して減らしたとしてもものすごい数になる。関係者が5人で各関係者が1万通のEメールを自分のコンピュータに保存していた場合、すべてのメールをレビューする人が必要となる。それにプラスして社内向けに作成された資料など、10万ページの資料をレビューしなければならないなど、ざらである。
ディスカバリーは一時的な仕事なので、2ヶ月程度の短期のプロジェクトになり、通常は外部の派遣会社に頼んで、どこの事務所にも所属していない弁護士を派遣してもらう。特に日本企業の場合は、書類のほとんどが日本語であり、日本語が読めるアメリカ弁護士資格保有者がレビューすることになる。アメリカでこのような適格者を探すことは難しいのであろう。1時間50ドルから75ドル程度で募集がかかっているのをよく見かける。1ドル100円で考えても時給5000円から7500円となる。将来の安定性はないし、弁護士実務の経験には全くならないので転職も難しくなるだけの仕事であるが、バイトとしてはある程度のお金になる。ロースクール時代の借金を返すために派遣弁護士になっている人はいる。

クラウドなどが発達してきている現在においては、ネットに接続できるコンピュータさえあれば、世界の何処からでもドキュメントレビューはできる。仕事の少なくなった日本の法律事務所が日本語のドキュメントレビューを引き受けて新人にやらせればいいのではと思っていたのだが、こんなものを見つけた。

日本企業に関連するドキュメントレビュー業務を日本でやる仕事と応募しているネットである。

http://ediscovery.atlegal.jp/ アットリーガルという会社のようである。

1時間1500円というアメリカの自給5000円から7500円から比較すると格段に安い自給での募集というのが気になる。たぶん、彼らがターゲットとしているのは、いわゆる三振博士といわれている法科大学院卒業から5年以内で3回以内に司法試験に合格できなかった人たちや、弁護士資格を取得したにも関わらず、就職先が見つからずに、即独立した人たちなのだろう。このような人たちが増えることで、藁をもつかむような気持ちでこのような経験に全くならないような仕事に飛びつく人が増えるのだろう。