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高額所得者層の減少が思ったほど見られないのは意外だ。まだまだ儲かっている弁護士も多いということだ。しかし、なにせ今後も大増員に伴う新規参入者が止めどなく入ってくるのだから、徐々に値崩れを起こして高額所得者層も減少していくだろう。
という部分である。
弁護士の数が増えたからといって、徐々に値崩れして高額所得者層の弁護士は減少することはないだろう。
最終的には、一部の高額所得者層の弁護士と、その他大勢の貧しい弁護士という構造が出来上がる。弁護士の質にばらつきが大きくなり、経験不足の弁護士も数多くいると言うことになれば、小規模な事務所が安くサービスを提供したとしても、安かろう悪かろうの推定が働く。失敗を極度に恐れる大手企業は、高度な法的問題に関しては、高くても大手で、優秀に見える経歴を備えた弁護士がウエブサイトにずらりと並んでいて、経験豊富で、弁護士ランキングで上位になる事務所の弁護士に仕事を集中させるのである。すると、そのような事務所の弁護士報酬は一向に下がらないのである。仕事が数箇所の事務所に集中すれば、他の事務所は同じようなケースについて経験を得られない。すると、経験弁護士の数は増えないので、結局同じ事務所に仕事が集中する傾向は強まり、大手事務所の弁護士報酬を下げるという市場原理が働かない。有名事務所の弁護士報酬がいくら高いとしても、安くやりますよっと宣伝する事務所に仕事を頼むという危険は冒せない。なぜなら、弁護士の質が下がって経験不足の弁護士が増えているからである。間違って、未経験の事務所に頼んで大失敗をしたら、法務部長が責任を取らされる危険もある。
一見すると堂々巡り状態に見えるが、これが現実である。この悪循環に陥ると高額所得者層の弁護士は減少しないのである。アメリカでは腐るほど弁護士がいるが、1時間に10万円以上請求するような弁護士がいるのである。大手事務所のパートナーのレートは1時間600ドルから800ドル程度である。それでも、大企業は小さな経験のない事務所に依頼できないので、それだけのお金を払っても大手事務所に依頼する。
これから弁護士になる人は、企業に通常に就職するのでなければ、一握りの高額所得者層の弁護士になれるか、それともその他大勢の貧乏な弁護士になるか、ギャンブルである。
自分は超優秀だから、絶対に高額所得者層の弁護士になれると、この業界に足を踏み入れるという過ちだけは決して犯さない方がよいだろう。