2015年5月6日水曜日

弁護士になるのは、野球選手になるのと同じリスクを負っている?

大人になったら、野球選手になりたいとか、俳優になりたいと、幼稚園の子供が夢を語っているうちは、親はニコニコしながら見ているだろうが、高校生くらいになっても、同じように、野球選手になりたいとか、俳優になりたいなどと言い続けていたら、親は眉をひそめるだろう。

何故だろうか。

もちろん、野球選手で億単位の金を稼ぎ、アメリカのメジャーリーグで何百億を稼ぐ選手もいるが、それは氷山の一角に過ぎず、二軍から上がれないままとか、一旦野球選手になったとしても、怪我でプレーが出来なかったり、芽が出ず、辞めざるを得なくなるなど、私たちの目に触れない人たちの方が大多数だからだ。

俳優も同じである。一部の億単位の金を稼ぐ人がいる一方で、バイトをしながら、何とか食いつなぎ、売れる日を待って、オーディションを受け続ける人などが数多くいるのである。そして、一生そのままで終わってしまう人が大半なのである。

さらに、野球選手や、俳優を目指してしまったら、他に転職をする道が少なく、転向が難しいので、途中であきらめてもその後の生計を立てるのが難しい。


ふと、考えると、現在の弁護士業は、野球選手や、俳優と同じになってきているのではないかと思う。

確かに、年間億単位で稼ぐ弁護士は存在し、そのような弁護士が消えることはないだろうが、全体の割合からすれば、極わずかである。一方、半分以上の弁護士が、貧困状態か、弁護士会費を支払うのが重い負担だと思う程度の収入しか得ていないのである。

確かに、億単位で稼ぐ弁護士が少なからずいるので、平均はある程度の額になるが、それは弁護士が儲かる仕事という根拠にはならない。大成功している俳優と、バイトをしながら、チョイ役をこなして生計を立てている俳優を全部合わせて平均収入を計算しているようなものである。

弁護士になりたいと夢を語っている人は、自分はその半分以上を占める貧困弁護士にはならないと思い込んでいる。野球選手になりたいと夢を語っているのも、自分は特別な能力があって、稼げると思い込んでいるからであり、それと大差ない。

さらに、マチ弁として、クレサラや離婚事件を何年もやった後の弁護士は、他に転職する道がほとんどない。企業法務の経験がないからである。弁護士を諦めて、他のことをやろうと思っても、そのごの生計を立てるのが難しいのである。これも、野球選手や俳優と同じである。


弁護士になるということは、野球選手や俳優になるのと似たようなリスクを負っているのだということを認識していない人は意外に多い。