2015年5月11日月曜日

二世弁護士が有利な理由

アメリカの弁護士を見ていると、親が成功している弁護士である場合、その子供もある程度稼いでいる弁護士であることが多いと感じる。

アメリカのようなロースクールシステムは、二世弁護士にとって、本当に有利である。

弁護士業務にとって重要なのは、実務経験である。確かに、もともとの頭の良さもある程度は必要であるが、どんなに頭が良くても弁護士として豊富な実務経験を積めなければ、優秀な弁護士にはなれない。二世弁護士は、親の助けを借りることによって、豊富な実務経験を得られる可能性が非常に高いのである。

昔の日本では、司法試験に合格すれば、本人が望めばほぼ間違いなく就職先が見つかり、豊富な実務経験を得ることができた。それだけでなく、ボス弁や先輩弁護士から懇切丁寧に指導を受けることができた。親が弁護士の二世でも、まず難関の司法試験に合格することができず、ひどい場合には、親の事務所の事務局長のような形で手伝っているということもあった。

アメリカでは、平均かそれ以上の能力があれば、ロースクールに入学して司法試験に合格することは可能である。二世弁護士が誕生しやすい土壌にある。司法試験に合格した後に、二世であるかどうかは格段の差をつける。弁護士の数が多いことから、就職するのは至難の業である。能力があってもちょっとした歯車の狂いで就職できなくなることは多い。
しかし、二世弁護士は、親のネットワークを使って就職先を探すことができる。それがダメなら親の事務所に就職するという奥の手がある。

アメリカでは、弁護士の数が多く、競争も激しいので、新人弁護士を育てようとしない土壌がある。勝手に自力で学んでくるアソシエイトには仕事をやらせるが、自分で学べないアソシエイトは、仕事を与えられなくなって沈んでいく。

この点も二世弁護士は有利である。身近にいる親又は親の知り合い弁護士が懇切丁寧に指導してくれるのである。ロースクールでは学べない実務に関する知識が身についていく。

更に、二世でない弁護士の場合、いくら大手事務所に就職できたとしても、そこから、パートナーになれるか、アソシエイトとして続けられなくなり外に出されるかという難関を通過しなければならない。外に出されて、インハウス弁護士の仕事が見つかればよいが、そのまま沈んでしまう弁護士もいる。

この点、二世弁護士は、親のネットワークを使い上手に渡り歩くことや、親の事務所を引き継ぐなどすることが可能であり、二世でない弁護士と比較すると格段に有利である。

結局、二世弁護士の場合、弁護士になってから15年後に、実務経験を十分に積んでいる、ネットワークの広い、顧客のある弁護士に育っている可能性が二世でない弁護士と比較して格段に高くなる。


これらのことは、今後の日本の法曹界にも当てはまるのであろう。