2016年6月10日金曜日

学閥

私が弁護士になったもう20年くらい前の時代、友人に、弁護士の世界に学閥のようなものがあるのか聞かれたことがある。
確かに、歴史的に弁護士を多く輩出してきた大学には同窓生の法曹の集まりのような会があったが、弁護士会の中に俗にいう学閥のようなものは、私の記憶する限りなかった。

当時宝くじに当たる確率のようなあの低い合格率の司法試験に合格したこと、同じような2年間の修習を経たというだけで一体感があった。

どこかで弁護士に会うと、まずは
「先生は何期でいらっしゃいますか」と修習の期を聞くのが一般的で、次の会話は
「〇〇期でいらっしゃるのですか。それでは、〇〇先生をご存知ではないですか。」
「ああ、〇〇先生ですね。良く存じ上げております。この前も、、、」
と話が続くのが一般であった。

修習の時は、誰がどの大学出身なのか、皆知っているが、大学によって修習生が優秀かどうかの格付けが付くようなことはなかった。大学としてそれほど良い大学とされていない大学出身者であっても、大学在学中に司法試験に合格した人がいれば、有名大学を卒業したけれども司法試験合格に時間がかかった修習生は、尊敬の眼差しで、その短期合格者を見ていた。

法科大学院ができて、司法試験合格者が増えるということが決まった時、今後は学閥が幅を利かせるだろうと思った。
特に、司法試験に合格したというだけでは優秀と言えない時代になれば、どの大学、どの法科大学院を卒業しているかは、重大な判断基準である。優秀な大学や法科大学院を卒業した弁護士は、あまり良いとされていない大学や法科大学院を卒業した弁護士を見下すようになるだろうと考えた。
昔のような宝くじに当たるような確率の司法試験に合格して、2年間の充実した修習を経験したことによって一体感があった法曹界が変わるだろうと。

実際、今はどうなっているのだろうか。



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