2012年8月16日木曜日

アメリカのロースクールに関する情報の偏り-その2


つづき

エリートロースクールの学生は、大手事務所のサマーアソシエイトプログラムに募集する。その際、在学するロースクールの知名度と1年生の時の成績は重要である。幾つかの法律事務所にサマーアソシエイトの願書を出す。エリートロースクールの優秀な学生なら複数の事務所からオファーをもらって、一つの事務所に絞る。通常2年生から3年生になる夏休みに働くことになる。1週間で約3000ドル(24万円)という破格の給料をもらう。まだ、ロースクールで2年勉強しただけで、弁護士として使えるわけではないのに特別待遇である。

特に問題がなければ、サマーアソシエイトをした事務所からオファーが来て、その事務所に無事に就職することになる。卒業すると、初任給約16万ドル(1,280万円)という新人エリート弁護士が誕生する。

しかし、普通のロースクールに入った者は、よほど成績上位者でない限り、このように恵まれたサマーアソシエイトの機会を与えられることはない。2011年、弁護士が250人以上在籍する法律事務所(上から約160番以内の規模)に就職できたのはロースクール卒業生のうち、わずか8パーセント弱だそうだ。

だからといって、贅沢なサマーアソシエイトの職に就けなかった者が夏を遊んで過ごすわけではない。少しでも履歴書をよく見せて卒業後の就職に結びつけるため、給料がゼロに近い小規模の事務所や政府機関等でインターンシップをする人もいる。リーマンショック後は、無報酬のインターンシップですら見つけるのが難しくなっている。

では、彼らの卒業後はどうなるのだろうか。