2012年8月20日月曜日

アメリカのロースクールに関する情報の偏り-その3


つづき

リーマンショック前の景気がよかった頃の話である。上位40パーセントに入るロースクールを卒業した知人が、就職のために何百もの法律事務所に履歴書を送ったが、返事が返ってきたのはわずか4つの事務所だったそうだ。それでも彼は理系のバックグラウンドがあったために知財をやっている事務所に就職できたので、自分はとてもラッキーだと話していた。彼の友人には弁護士としての仕事に就けなかった人がたくさんいるそうだ。

40代後半の弁護士からリーマンショック以前に聞いた話であるが、両親の具合が悪くなりカリフォルニアに持っていた自分の法律事務所を閉めて、東海岸に移動することにしたが、その際に年収4万ドルで弁護士を募集していた事務所に応募したそうだ。4万ドルといえば320万円である。それほど安い給料なのに、多数のロースクール卒業生が殺到しているということを事務所のオーナー弁護士から聞かされたそうだ。

事務所の同僚弁護士が、「ケーブルテレビの配線にやってきたのが、ロースクールのクラスメートだった。元クラスメートは『この方が儲かるんだよ』と言っていた」と話していた。これもリーマンショック以前の話である。

リーマンショック前でもこのような有様なので、リーマンショック以後は目も当てられない。ロースクール在学中に就職先が決まらなくてLL.M.に入学した人の話によると、ロースクールの実務をやるクラスのクラスメート8人中7人が卒業までに就職が決まっていなかったそうだ。弁護士の募集はないかと問い合わせが、私にまで来る。知人を通じて来ることもあるし、全く知らない人から突然来ることすらある。

リーマンショックになってからは当然のこと、リーマンショック前であっても、上位4分の1に入っていないロースクールでは、成績がかなり優秀でない限り就職が難しかったようだ。