2013年7月25日木曜日

沼の底から這い上がれない現実


リーマンショックの直後にアメリカのロースクールを卒業した世代は人生の出だしで躓き、そこから這い上がろうとしてもなかなか這い上がれない現実にぶち当たっているようだ。

20092010年はコンスタントに新卒弁護士を採用してきた大手事務所であっても新卒の採用を行わなかった事務所は多い。そこで、特に2009年、2010年にロースクールを卒業したJD取得者たちは、アソシエイト弁護士として法律事務所の仕事に就くことができず、短期のバイトのような仕事やパートで法律に少し関連する仕事に就いたりした者が多かった。景気が少しずつよくなり、大手事務所は以前のように新卒を採用するようになっているが、大手事務所が新卒として雇うのは、現時点での新卒であり、2009年、2010年に卒業したけれども就職ができなかった人たちではない。短期やパートの仕事では、履歴書に書けるような経歴はないと言っても過言ではない。つまり、かれらは新卒ではない未経験者と扱われる。2,3年の経験弁護士の就職先はあるが、短期の仕事を転々とした未経験弁護士は法律事務所の面接にすらこぎつけられないだろう。インハウスのポジションもないだろう。インハウスになるには、一般的に少なくとも2,3年の中大手事務所での勤務経験が要求されるからだ。
こうなってしまったら、弁護士の資格とは全く関係ないフルタイムの仕事を探すのが現実的なのかもしれない。

この失われた2年間にロースクールを卒業して当時必死に就職先を探していた人に最近会った。卒業から今まで短期の仕事を転々としているようであったが、もう3年以上経ってしまったことにあせりを感じているようだった。ロースクールを卒業するのに幾らつぎ込んだのだろう。一般的には1000万円くらいかかるのが普通であるが、借金はどのくらい残っているのだろうか。

アメリカには同じような境遇のJuris Doctor (法務博士)たちが多くいるのだろう。しかし、彼らの話を聞く機会はあまりない。