2014年7月2日水曜日

弁護士の敵は事務所内の他の弁護士かも!? ― 弁護士を使う際の注意点

アメリカのどの法律事務所に依頼しようか悩む日本の企業は多い。
その際、事務所内の弁護士の専門分野や経歴をウエブサイトで検索して調べるのが通常だろう。

立派な経歴を持つ優秀そうに見えるパートナー弁護士たち。この優秀そうにみえるパートナー弁護士A、B、C、Dに一緒に協力して仕事をやってもらえれば、鬼に金棒だ。知人がパートナー弁護士Aを知っているというから、紹介してもらってA弁護士にメールを出そう。

「こうやって、弁護士Aに仕事を依頼すれば、弁護士A、B、C、Dのドリームチームを見方につけて戦える」と信じるかもしれない。しかし、米国法律事務所はそのように運営されていないことが多い。

同じ分野のプラクティスをする有名弁護士同士は、同じ事務所で働いているにもかかわらず、競合相手である可能性も高いからだ。例えば、弁護士AとBが競合相手である場合、よほどのことがない限り、AとBが一緒に働くことはない。AとBは表面的には仲良くしながらも、AはBにクライアントを奪われないように、BはAにクライアントを奪われないように、水面下で戦っていることがある。

クライアントが望めばAとBを例えば一緒の訴訟チームとして使うことができるかもしれない。しかし、こんな問題が発生するかもしれない。
AとBともに一流の訴訟でLead counselとなった経験のある弁護士であれば、まず誰がLead counselになるのかでもめることになる。Lead counselとして有名な弁護士は、我が強いアメリカ人弁護士の中でも目立ちたがり屋が多いので、そんな弁護士が二人で違う方向に訴訟を引っ張っていけば、大変なことになる。会議が長くなり費用は高くなるかも知れないし、勝つ訴訟も勝たなくなるかもしれない。

同じ事務所の弁護士だから仲良く一緒に働くと思ったら大間違いである。船頭多くして船山に登る可能性もあるのである。アメリカの法律事務所を上手に使うには、内情を良く知ってなければならない。