2012年12月7日金曜日

英米系法律事務所の傘下に入る日本の法律事務所


かつて渉外事務所として名の知れた「 東京青山・青木・狛法律事務所」という事務所は、ベーカー&マッケンジー法律事務所と名称を変更した。英語のウエブサイトから見ると、完全に米国のシカゴを拠点とする法律事務所、ベーカー&マッケンジーの東京オフィスという位置付けで、「(Gaikokuho Joint Enterprise)」と括弧書きがあるが、日本語が読めない人には何のことかさっぱり分からないであろう。ウィキペディアによるとベーカー&マッケンジー法律事務所には4000人以上の弁護士が所属しており、東京オフィスに100人以上弁護士がいたとしても、全体の割合から考えると極一部の少数派となる。実際の内情は分からないが、アメリカ本部の意向が強く働くことは容易に想像できる。

坂井・三村・相澤法律事務所もビンガム・マカッチェン・ムラセという米国法律事務所の東京オフィスという位置付けである。英語のウエブサイトの説明書きにも一部「Sakai Mimura Aizawa」という言葉は出てくるが、ウィキペディアによると1100人も弁護士がいる事務所に対して68人しか弁護士がいない東京オフィスの意向がどの程度反映されるのかは疑問である。

伊藤見富法律事務所は、かなり前からモリソン・フォスターという米国法律事務所の東京オフィスという位置付けである。英語のウエブサイトから「伊藤見富」という言葉を見ることはない。モリソン・フォスターも1000人以上の弁護士が所属する事務所で、東京オフィスは完全に米国事務所の1オフィスである。

日本経済が弱体化していると言われるなか、アメリカの法律事務所としてもゼロから東京オフィスを設立したいと思うほど日本の法曹市場に対して魅力を感じないだろう。ただ、既にある日本の法律事務所を自己の東京オフィスとする動機は十分あると思われる。弁護士増員により経営的に苦しくなった日本の法律事務所が英米系事務所の助けを求めることは十分考えられ、英米系法律事務所の傘下に入る日本の法律事務所は増加するかもしれない。

このウエブに書き綴っているアメリカ事務所のやり方が日本でのスタンダードになる日が近いということなのだろうか。