2014年5月7日水曜日

大手事務所に移籍したパートナーの消息

大手事務所(500人以上弁護士のいる事務所)にパートナーとして移籍した知っている弁護士のその後の消息をウエブで調べてみた。

驚いたことに、半数以上のパートナー弁護士が移籍したはずの大手事務所から3年以内に消えている。中には、他の大手事務所に移籍している場合もあるが、行方不明に近いような人もいる。アメリカの弁護士の多くはLinkedInのアカウントを持っているが、自分のプロフィールを更新しなくなった人もいる。

一応事務所には所属しているようだが、よく見ると個人事務所である場合、つまり自分で事務所を設立している元パートナーもいる。

中小規模の事務所に所属している人もいるが、どうもウエブサイト上での印象と実際の事務所とは違うだろうと予想の付く事務所であることが多い。つまり、ウエブサイト上では30人~50人くらいの弁護士が所属する中規模の事務所のように見えても、実態は個人事務所の集合がウエブサイト上でのみ大きな事務所のように見せている事務所である。
見せかけだけ規模がある事務所は下記のような特徴がある。

・ 弁護士の数と比較して、オフィスの数が多い、例えば、30人程度しか弁護士が所属していないのに、ヒューストンオフィス、ロスオフィス、シアトルオフィス、ワシントンDCオフィス等、5つくらいオフィスがある。海外オフィスまであったりする。

・ 同じオフィスにいるはずの弁護士の直通番号が下7桁くらいバラバラである。もし、同じオフィス内にいる場合は、下4桁だけが異なるのが通常である。

・ 弁護士の写真が載っているが、背景など写真の撮り方がかなりバラバラである。


大手事務所にパートナーとして移籍した弁護士は、原則として新しい事務所から仕事を与えられない前提で事務所に入ってきている。そこで、自分で大手事務所で求められる年間1億円程度の売り上げを出せない場合には、辞めさせられることになる。
アメリカは法律事務所に限らず、容赦がない。仕事をもって来れないと分かれば、1年~2年程度で辞めさせられる。

そこで、クライアントの一部しか一緒に移籍してくれなかった、あるいは、移籍したいがために移籍交渉中に大きなことを言ってみたが(年の売り上げを倍で申告した等)、そのとおりにならなかった場合など、弁護士は大手事務所を辞めざるを得なくなる。そこで、次の移籍先を探すことになるが、1,2年おきに事務所を転々としていては、最初は一緒に移ってくれたクライアントからも最終的に見放されることになるだろう。


このようにして消えていく弁護士がアメリカには数多くいるのである。