2014年5月13日火曜日

アメリカンドリームは過去の話 ― 学費の借金に潰される 

アメリカでは、大学以上の教育機関の学費が毎年上がっている。
リーマンショックで、他のほとんどの費用が下がったときも、学費だけは上がり続けた。
ロースクールも高いが、大学も高い。それも有名校は私立大学である場合が多く、学費が日本の感覚では信じられないほど高い。こんなに高くて誰が大学に行けるのだろうかと疑問に思うくらいである。ただ、世界各国からアメリカで教育を受けようと学生が集まってくるので、学費を下げずにやっていられるようだ。

一般のアメリカ人は少しでも安く大学に行くために皆苦労している。
州立大学などは、州内に一定期間以上居住している学生の学費を若干安くしているので、優秀な学生であっても、有名な私立大学ではなく、近くの州立大学に入学する。
スポーツが得意な学生はスポーツ入学による奨学金を狙っている。アメリカでスポーツが盛んな理由はここにあるのではないかと思ってしまうくらい真剣になっている親もいる。
さらに、子供を大学に進学させたい親は、子供が生まれたらすぐに大学のための学費を貯蓄し始める。
孫が生まれたからと、2歳、3歳の孫の将来の大学の学費用に投資を始めるのも最近では普通になってきている。

金持ちの家に育っていない奨学金を受けられない子供は、借金をして大学に通うか、進学を諦めるか選択しなければならない。

受けられる教育の違いから、金持ちはより金持ちになり、貧困層は貧困層として固定するようになっている。
「もう、アメリカンドリームは過去の話なのか」とアメリカのメディアで話題になることも多くなった。


しかし、これは、単にアメリカだけの話だろうか。ちょっと目を向けてみると、日本では国公立大学の学費が非常に高くなり、返す奨学金、つまり借金をして大学にいった学生が卒業後苦しみもがいている。それだけではない。アメリカを模倣して法科大学院等、色々な大学院が出来上がり、原則として卒業が国家試験を受ける条件となっていたりする。

日本の弁護士の中には、弁護士の人数を減らすことに主眼があるかのように法科大学院に反対している人が多い。しかし、人数が云々は副次的な問題なのではないか。

もっと大きな視点で見てみれば、学位を要求する制度を作ることで、金持ちでない家に生まれ育った優秀で真面目な人からその能力を発揮する機会を奪っていることではないか。


こんなことを続けていれば、日本が国として衰退していくのではないか心配である。