2015年12月19日土曜日

本当の自由化とは?

法曹とは関係ないが、日本人が誤解しやすいことを話したいと思う。

規制緩和、自由化と言う言葉に弱い日本人であるが、本当の意味の規制緩和、自由化の意味を知ったら、明らかに反対するであろう。規制を緩和又は廃止して自由化を認めると言うことは、個々のビジネスが、自己の利益を最大にすることを許すことである。利益を最大にしようとすると、下記のようなことが起こる。


日本人であっても、飛行機のチケットを購入する場合に、出発日と帰国日によってチケットの値段が違うことや、旅館やホテルの一泊の料金が、土曜日の宿泊料金が、月曜日の宿泊料金より若干高くなると言うことには、ある程度納得しているであろう。

しかし、アメリカの長距離列車やホテルのような価格変動が規制緩和の行き着く先だと知ったら、規制緩和には反対するであろう。代表的なホリデーやコンファレンスなどのイベントの予定や、購入する時期、空きがどれくらいかである等、様々な情報をアルゴリズムを使ってコンピュータが綿密に計算して、一番儲かる価格をわりだすのである。同じ行先の同じ電車の同じレベルのチケットを、私は70ドルで購入したのに、他の人は、混んでいる時間帯に利用するというだけで200ドル以上で購入していたこともある。直前に購入した人は、1か月以上前に購入した私より、3倍の値段を支払っていたこともある。大きなコンファレンスがある場合、同じホテルの宿泊料が3倍以上になるのも珍しくない。


日本人の常識から考えられない事例は、ハイウェイである。ハイウェイに無料のラインとエクスプレスラインがあり、途中から分かれている。エクスプレスラインの料金は変動制となっていると言うのはアメリカでは珍しくない。変動制の場合、車に装着した、機械によって料金がチャージされる仕組みになっている。現時点での料金が大きく掲示板に記載される。ハイウェイの無料のラインが朝晩の混雑する時間帯は、有料ラインは20ドル~30ドルすることもある。ハイウェイの無料ラインがあまり混雑していない時間は、5ドルくらいと安くなる。これによって、ラッシュアワーは30ドル払ってもどうしても早く目的地に行きたい人だけが、エクスプレスラインを利用することになる。すると、エクスプレスラインは必ず、無料のラインより混雑していないという状態を作ることができ、その分、混雑していない時間帯の6倍の費用をとることによって、収益を得ることができる。
これも、すべて、ハイウェイの各所に備え付けられたモニターとアルゴリズムを使ったコンピュータによって、達成されている。


上記に記載したのは、ほんの一部の例に過ぎない。規制を緩和または廃止して自由化に舵をとると、日本人の常識から考えて許されないと思うようなことが起こると言うことをしっかりと認識しなければならない。