アメリカの多くの州では弁護士会へ強制的に加入させられることはない。つまり、弁護士になるのに弁護士会に加入しなくてもよいのである。例えば、ニューヨーク州、マンハッタンで弁護士をやっていると、主にニューヨーク州弁護士会、ニューヨークカウンティー弁護士会、ニューヨークシティー弁護士会から入会の案内が送られてくるが、いずれにも加入する必要はない。弁護士会は完全な任意加入団体なのである。そこで、会費も安い。
では、弁護士になるためにどうするかといえば、弁護士登録が必要になる。ニューヨーク州であれば、登録料として2年間で350ドルである(現在は375ドル)。日本円に換算すると1年で1万4千円である。中規模から大規模の法律事務所では、一般的に事務所がこの費用を負担している。
まだ、アメリカの弁護士になって間もない頃、親切にも日本の弁護士登録費用を事務所で負担しようかと提案してくれたパートナーがいた。日本の会費はもの凄く高いと断りを入れた後に、年間で5000ドルから6000ドルくらいと正直に話した。円高の今は、7000ドルを余裕で超えている。パートナーの驚きといったらなかった。「What?」「It’s
crazy!」。日本の弁護士会費はクレージー以外の何ものでもないのだろう。その後、そのパートナーが日本の弁護士会費の話を二度と持ち出すことがなかったのは、言うまでもない。
東京弁護士会では事務所の住所変更や事務所移籍により登録変更事項があると、その都度5000円支払って変更する必要があるが、もしアメリカの弁護士がこれを知ったら腰を抜かすだろう。例えば、200人の弁護士が所属する大手事務所が事務所の場所を移転したとしよう。弁護士会の住所変更費用だけで、100万円かかる計算になる。
ニューヨーク州では事務所を移籍しても事務所変更届出の費用なんて請求された覚えがない。
ニューヨーク州では事務所を移籍しても事務所変更届出の費用なんて請求された覚えがない。
弁護士登録をしてからGood Standingであることを証明する証明書を出してもらったときには、5ドルしか請求されなかった。400円である。証明書は上等な紙でできていたので、紙代程度である。