2017年6月6日火曜日

情報の非対称性による逆選択

出張で日本の飛行機に乗った時に何気なく見た番組で説明されていた「情報の非対称性による逆選択」という言葉が今の日本の弁護士業界に当てはまるような気がしてならない。

番組では、消費者と生産者側の情報量が対象でない場合、つまり、消費者側に情報があまりなく、生産者側に情報が偏っている場合をを「情報の非対称性」というと説明があり、その例に、ワインが挙げられていた。それだけなら、「なるほど」という程度である。

面白いと思った話はプレミアムワインと普通のワインの例である。例えば、高いプレミアムワインと安い普通のワインがあり、消費者側がどうしてプレミアムワインが高いのか、その情報がない場合、分からない場合、プレミアムワインを選ばなくなり、プレミアムワインが売れなくなるので、最終的に、プレミアムワインは市場から消え、消費者がプレミアムワインと楽しむことができなくなるという話である。

これは、まさしく、今の弁護士業界に当てはまるのではないか。大手企業などは、インハウス弁護士も複数いるので、弁護士業務に関する情報も豊富で、プレミアム・リーガルサービスを受けるために高額な弁護士費用を支払う動機もある。これに対して一般の一生に1回弁護士に依頼するかどうかという程度の個人だと、弁護士業務や特定の弁護士に関する正確な情報があまりなく、「情報の非対称性」がそのまま当てはまる。そうすると、安いサービスを提供する弁護士がいれば、高い費用を支払ってプレミアム・リーガルサービスを受けるという動機もなくなり、プレミアムサービスを提供する弁護士は市場からいなくなるのではないか。

つまり、大手企業に対してリーガルサービスを提供する事務所はプレミアム・リーガルフィーを請求しても生き残れるが、一般消費者向けにリーガルサービスを提供する事務所は、プレミアム・リーガルフィーを請求する事務所は生き残れなくなり、料金を安くして薄利多売などの方法で生き残るしかなくなるのではないか。



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