2018年4月16日月曜日

新卒就職の売り手市場と日本の司法試験

以前、司法試験の受験者数と、新卒の就職が売り手市場か買い手市場かは、相関関係があると思ったことがある。
つまり、景気が落ち込んで新卒の就職率が下がると、その3年後くらいから徐々に司法試験の受験者数が増加する。
景気が回復し、新卒の就職率が上がると、その後、司法試験の受験者数が減少する。

特に顕著なのが、昭和60年代のバブル期である。その直前まで司法試験の合格率が2パーセントを切っていたので、司法浪人がかなりいたと思われるが、バブル期に入ると、新卒のみならず、司法浪人だった人まで、就職先を見つけて司法試験をあきらめたと思われる。その証拠に、それまで伸び続けた司法試験受験者数が減少している。
さらに、バブルが崩壊して就職氷河期が到来するが、その3年後くらいから旧司法試験の受験者は増加の一途をたどった。

旧試験の受験者数と合格者数の推移 (法務省ウエブサイトから)
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/press_081009-1_20syutu-gou2.html


現在、新卒の就職は売り手市場と言われているが、これによってさらに法科大学院への進学が減少することが予想され、弁護士資格の魅力が減少したことによる進学者の減少に追い打ちをかけることになるだろう。


もう、法曹界を活性化することはできないのであろうか。
諦めるのはまだ早いのではないか。

司法試験を活性化させるためには、法科大学院卒業を司法試験受験要件から外すことであるが、その理由は、今まで法科大学院反対者が一様に唱えてきたものとは少し違う。

現在、終身雇用が崩れてきており、終身雇用を信じて就職した世代、特にバブル就職世代が、終身雇用が崩れてきたことに危機感を感じて、仕事を続けながら何らかの資格やスキルを取得したいと考えている。70歳まで働かなければならない時代、40代から50代前半は、70歳まで働くために備えなければならない時期であり、文系の人にとって司法試験は魅力的な資格に見えるかもしれない。新卒が司法試験だけ合格しても社会経験と人脈がないために役に立たないことが多いが、この世代の経験豊富で人脈豊かな地頭の良い人が司法試験に合格すれば就職の役に立つだけでなく、社会の役にも立つであろう。
しかし、この世代が司法試験を受験したいと思っても法科大学院卒業の壁が立ちはだかり、予備試験は重荷すぎる。

天下りが世間から批判されている国家一種試験を合格したキャリア組は、40代後半から50代には、官庁内のポストが減少するため、外に出なければならない状態に追い込まれることがある。法科大学院卒業の受験要件がなくなれば、もともと地頭が良かった彼らなどは喜んで司法試験を受験するだろう。現に予備試験を受験すると言っていた人に会ったこともある。

社会で経験を積んだ地頭の良い人たちが、司法試験を受験してくれれば、法曹界も以前のような活気を取り戻せるかもしれないし、まさしく企業が望んでいるような経営と企業を理解し海外についても理解しているような弁護士が誕生する可能性を高くするのかもしれない。

法曹界が死に体になる前に対策を打てないものだろうか。

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