2012年9月10日月曜日

ロースクールに行くべきでないとアドバイスするブログの数々


アメリカの複数のロースクールが卒業生の就職率に関して虚偽の情報を提要して学生を集めたとしてクラスアクション訴訟を提起しているというニュースを伝えるウエブサイトの中に、ロースクールに行くべきでない語るブログを書いているロースクール卒業生が多くいるとの記載があったので、グーグルで検索してみた。
確かに、そのようなブログは多数あるようだ。ロースクールの高い学費を払うために借金しても借金を返せるだけの高給が支払われる仕事に就くことはほとんど無理であるという内容が多い。

現在ではトップ10のロースクールに行くか、成績がとても優秀でない限り、ロースクール時代の借金を返済できるような仕事には就けないと分析しているサイトがあった。トップ10といえば、上位5パーセントのロースクールに入らなければならないということである。成績が思わしくなかった学生が1学期が終わった後に中退することも多い。1年の成績が悪いと大手事務所に就職できない、すなわち借金が返せない。1学期ごとに学費を支払うので、借金を増やす前に中退して他の職を探した方がよいという判断によるのだそうだ。

ブログの中で印象的な文章を見つけた。「Debt is the elephant in the room that law schools never tell you about, but ends up dominating your life.」少し分かりやすく意訳してみる。「借金というのは、あなたの部屋に像がドンと座っているようなもので(皆が話したがらないいという比喩でも使われる表現)、そのうちあなたの生活を占領していく。でもロースクールはそんなことを絶対に教えてくれない。」20代で多額の借金を負いながら、それを返せるだけの給料の支払いがある職が見つからない厳しさが伝わってくる表現である。
1ドル100円で計算すると、アメリカのロースクール卒業生の平均的な借金の額は1000万円である。他のブログでは、「これから25年かけてこの借金を返していく」と書いてあるものもあった。「自分に対する投資と思ってロースクールに行ったが、現在では上位ロースクールを卒業してもリスクが非常に高いギャンブルに過ぎない。」との記載もあった。

大手法律事務所では高給が支払われていても、それでも割りに合わないという内容のものもあった。大雑把にいうとこんなことが書いてあった。「大手事務所ではBillable hour、つまりクライアントにチャージできる時間を年間2000時間付けることが要求されるが、7時間事務所で働いたからといって7時間のBillable hourがつけられるわけじゃない。少なくとも10時間働かなければ7時間はつけられない。」確かに、リーマンショック以降、クライアントにチャージできる時間を2200時間、中には2400時間つけるようにと要求する事務所も現れるようになった。
ブログのコメントの中には自分は仕事があって、少しずつでも学生ローンを返していけるだけ恵まれているというものもあった。
アメリカと日本の大きな違いは、法律の資格と全く関係ない仕事に就いている法曹資格者がものすごい数いることである。
クラスアクションに戻るが、仕方なく法律資格と全く関係ない、つまりロースクールに行かなくても就けた仕事に就いた卒業生も含めて就職率が高いと宣伝したことなどが虚偽だったというわけだ。