アメリカでは日本のような労働者保護がないため、リストラがしやすい。弁護士のリストラも同様に容易である。
大手の法律事務所は噂を気にするので、2、3ヶ月の猶予をもって解雇するのが通常であるが、リーマンショック以後のリストラはそうとも限らない。一番残酷なリストラ方法は、血も涙もない。当日突然解雇を言い渡され、その日は解雇された弁護士が事務所を出るまで、お目付け役のエスコートがついてまわり、事務所の物を持ち出さないか監視する。解雇された弁護士は私物を持ち出す準備をすることだけが許され、私物を持って外に出る時に事務所の鍵を返し、それっきり事務所に入ることはできない。
ここまで残酷な方法でリストラをすることは法律事務所では多くないだろうが、リストラされた弁護士の数は数え切れない。大手事務所だけでも何万人という数である。大手事務所の名前を書いてその後に「layoff」とタイプしてグーグル検索すれば、多数のウエブにヒットする。ウエブに出てこないようなリストラも数え切れないほどある。
リストラされた弁護士が無能かというとそうでないことも結構ある。仕事が早くて正直で営業活動が苦手な弁護士は有能でもリストラの対象になる。仕事が早いとクライアントにチャージする時間が短くなりがちであるが、正直だとその短い時間をそのままつけてしまう。事務所に仕事が少なければ、クライアントにチャージできる時間が一定時間を越えなくなり、リストラの対象になる。
彼らがリストラ後どうしているのか分からないが、再就職はかなり難しいようだ。リストラされた新人弁護士の再就職は特に難しいようである。その後、1年2年と職が見つからない者、契約弁護士や派遣弁護士になる者、弁護士の仕事を諦めて弁護士資格と全く関係ない職に就く者など、様々な話を聞く。
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