2013年4月26日金曜日

クライアントになるふりをして弁護士を騙そうとする人々


最近、クライアントになる振りをしてアメリカの弁護士を騙そうとする人たちがいるようである。私の周りで聞く話では、日本の企業を装って騙そうとする人も多いようだ。それだけ日本企業は信用があるし、アメリカの事務所から言われたとおりにディスカウントも要求せずに弁護士費用を支払うと思われている、つまり、中国や台湾企業と比較すれば、法律事務所にとってよいクライアントだという共通の認識があるのだろう。

手口の例としては、日本企業の代表者や法務部長を装ってメールで依頼できる弁護士を探していると言ってくる。喉から手が出るほど仕事が欲しいアメリカの弁護士は他者からの紹介がない場合でも返答をしてしまう。メールには、立派そうな会社の名前が記載されており、会社のホームページのアドレスが載っており、リンクをクリックすると、一見立派そうな会社概要が記載されたホームページが現れる。

メールでのやり取りにより仕事を受任することになるが、初めての信用も分からないクライアントということで、預かり金を送金してもらうことになる。例えば、15千ドル振り込んでもらうことになったとする。先方から連絡が来て、15千ドルを送金しようとして間違って5万ドルを振り込んでしまったので、至急35千ドルを送金して欲しいと連絡が来る。証拠がメールに添付されていたりする。ある程度の規模の事務所であれば、35千ドルが支払えるので、入金が確定していることをしっかり確認する前に35千ドル送金してしまうこともある。

35千ドル支払った後はどうなるか、話しを続けるまでもなく分かるであろう。クライアントと名乗る企業と連絡が取れなくなる。振り込んだ35千ドル、1ドル100円で換算すると350万円は返ってこない。

これ以外にも他の弁護士騙しの手口を聞くこともあるが、長くなるので割愛する。

弁護士は仕事が必要で困っていること、仕事が足りなくて事務所を辞めざるを得なくなるパートナーが多くいることをうまく狙った詐欺である。最近は日本でも弁護士がクライアント獲得に明け暮れているようであるが、弁護士を狙った詐欺を働く人たちが現れるのもそう遠いことではないのだろうか。