2013年5月5日日曜日

一部の弁護士が儲ける制度


アメリカ人はつくづくビジネスが上手であると感じる。弁護士も例外でない。現在、アメリカの大手事務所で多く採用されている法律事務所のシステムはリーガルサービスによって一部の弁護士が金を儲けることができる。

損害賠償額が高い訴訟を成功報酬で受任しても一時的に高い報酬を受け取ることができるかも知れないが、勝訴するかどうか分からない事件を成功報酬一本で引き受けるのは危険が大きすぎるし、継続的に安定した報酬を得られるわけでない。

一時間の仕事につき幾らかかるというアワリーチャージで報酬を請求すれば、危険が少ないし、継続的に安定した報酬を得られる。しかし、アワリーチャージだと、124時間しかないので、アワリーレートを高くしても得られる報酬には限界がある。決められたある一定時間以上の時間をチャージすれば、ボーナスは出るが、自分で働いた時間を基準にしか給料が出ないのであれば、限界がある。

そこで自分で働いた時間を基準として給料を得られるシステム以外のシステムが必要になる。ビリングパートナーというシステムはその一つである。事件ごとに誰がビリングパートナーになるかが決められる。通常、そのクライアントを持ってきたパートナーがビリングパートナーとなる。
ビリングパートナーは自分が働いてチャージしたのではなく、他の弁護士がチャージしていても、そのうちの一定割合を自分の報酬として手にすることができる。つまり、他の弁護士にその事件をやらせることによっても自分の収入額が高くなるのである。

ただ、それでもある程度限界がある。そこで、エクイティーパートナーというシステムがある。総利益はエクイティーパートナーたちの更なる収入になる。

エクイティーパートナーが儲かるためには、下の弁護士、特にアソシエイトに働いてもらう必要がある。「大手事務所のアソシエイトに課されたノルマ」で説明したようにアソシエイトには考えられないノルマが課され、ノルマを果たせないアソシエイトはいずれは辞めさせられる。

こうしてエクイティーパートナーはアソシエイトをはじめとして他の弁護士を酷使して何億円という収入を手にするわけである。

ピラミッドのトップにいる一部の弁護士が多額の収入を得られるシステムが上手に出来上がっている。