2015年11月19日木曜日

新人アソシエイト弁護士に一言

頭が良くて、成績優秀で、試験が得意で、有名大学や有名ロースクールを優秀な成績で卒業し、大手事務所に就職できたとしても、パートナーに使ってもらい易い弁護士にならなければ、最初の大きな挫折を味わうことになる。つまり、パートナーから仕事をもらえなくなり、事務所内で事実上失業し、結果的に事務所を辞めなければならなくなる。


最近、事務所内のパートナー弁護士から、オーバーフローしている仕事があったら、アソシエイトのトム(仮名)にAssignしてくれないかと頼まれた。

「ここだけの話だけれどもクライアントが少し仕事を減らしてきて、トムを十分に忙しくするだけの仕事がないんだよ。」と言われて、
「そう言われても、既にデビット(仮名)とボブ(仮名)に仕事をやってもらっていて、それで十分足りているから、トムにAssignする仕事はないなあ。でも、心に留めておいて何かあったらトムに回すから。」と答えた。

そんな会話をしていたが、心の中では、「いやあ、トムは使いづらいから使いたくないなあ。この仕事に〇〇時間以上かかる時は、事前に私の許可をとるようにというと、必ず、ぎりぎりいっぱいの時間をつけてくるし、以前間違いを指摘したら、最初の私の指示の方が悪かったから間違ったと、私を責めたこともあるし。能力はないわけではなんだけれども最近は使うのを極力避けているんだけどなあ。」と思っていた。


事務所のある部署で扱える仕事量のキャパと、実際の仕事量が、イコールになることは滅多にない。仕事量がキャパを超えているか、キャパが実際の仕事量を超えているかどちらかである。仕事量がキャパを超える場合、仕事が遅れ遅れになって、クライアントが逃げていくことがあるので、直ぐ人を雇う。キャパが仕事量を超えている場合、誰かを辞めさせなければならないが、誰を辞めさせるかという話になる。その際、仕事量が少ない弁護士が標的になる。だから、仕事を頼まれやすい弁護士になることが必要なのだ。

能力がないアソシエイトに仕事を頼みたくないのは当然だが、ある程度の能力があれば、人間的に仕事を頼みたいと思うアソシエイトについつい仕事を頼んでしまう。快くにっこりと、「もちろん喜んでやりますよ」と引き受け、仕事の期限を守って、クライアントの前ではパートナーをたてて、パートナーを差し置いてクライアントに直接連絡をとることはなく、パートナーの間違いを責めたてることもないアソシエイトに。

使ってもらい易いアソシエイトになることは、事務所で成功するための第一歩である。








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