2012年10月1日月曜日

アメリカは修習なしでどうしているのか?


アメリカでは日本のような修習制度はない。では、新人弁護士はどのように実務に必要な知識を得ているのだろうか。

もちろん、実務を通じて知識を得ているのは当然であるが、ある程度の規模の事務所であれば、事務所内で新人弁護士研修を行っている。新人研修の内容は、弁護士の担当分野によって異なるが、私は訴訟手続に関する新人弁護士研修に参加した。週に1度、ランチの時間に事務所が用意してくれるランチを食べながら新人研修を受ける。3枚程度の紙に書かれた具体的な事例をもとに訴状を書いてくる宿題が出され、次の週には訴訟の模範例が渡されて、その訴訟と3枚程度の紙に書かれた被告側の具体的な事例をもとに答弁書を書いてくる宿題が出され、その後も手続の流れに従ってディスカバリーのドキュメントリクエストを作成する宿題が出されたりと続いていく。確か4ヶ月くらい続いたと思う。しかし、日本の修習と比較すれば、本当に初歩的なものであった。実際の事例をもとにした詳細な証拠を検討できるわけでもないし、優秀な教官が起案された宿題を丁寧に採点してくれるわけでもなかった。

その時、日本で体験したあの2年間の修習がいかに素晴らしいものであったかを実感した。すべて血となり肉となり実務に役立った。アメリカで日本法と無関係な実務をやっていても、修習の時に学んだことが役に立っていると感じることがしばしばある。

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