2015年1月5日月曜日

即独弁護士が受任すべきでない事件

手違いでKindleから購入してしまった「How to Start and Build a Law Practice」という本を読んでいたら、面白いことが書いてあったので紹介しよう。

基本的には、新人弁護士が即独立するために何が必要なのか、アメリカのロースクールを卒業した学生とロースクール在学中の学生向けに書かれている本である。その中に、新人弁護士が受任すべきでない事件の例が書かれていた。

まず最初に書かれていたのは、「あなたがそのケースの2番目または3番目の弁護士である場合」である。最初の弁護士が途中で辞任した、または解任されたのは、何かしら理由があるので、それを判断できないような新人弁護士は引き受けるべきではないというのだ。このようなケースは、勝ち目がないケース、クライアントが非協力である場合、クライアントが弁護士報酬を支払わない場合である可能性が高いからと言っている。これは、まさしく納得でき、日本でも通用する新人弁護士へのアドバイスである。

次に書かれていたのは、不法行為によって精神的な損害を被ったから訴えたいと言っているケースである。依頼者が金銭的な損害を被っていない場合には、引き受けるべきではないというのだ。これも納得である。日本でも当てはまる。特に、お金が目的ではなくて、相手に仕返ししたいから訴えたいと言っているような依頼者の事件を引き受けたら、新人弁護士にとってはアリ地獄に引き込まれるようなものである。

他には、最初に報酬をもらわない限り引き受けてはいけない事件としてリストされているのは、家の賃貸借に関する事件、借金まみれの人たちの離婚事件、刑事事件、破産事件である。これらのアドバイスも、日本で当てはまると思う。

アメリカらしいのは、Slip Falls(滑って転んだ類のケースをアメリカではSlip and Fallと呼ぶ)のケースについては、損害額が実質的にかなり大きい場合でない限り引き受けるべきでないというものである。

最後まで読んではいないが、この本は、即独する弁護士にとっては、たとえ日本の弁護士でも参考になる部分があるようだ。